東京スカイツリー 全盲の歌手が「音頭」歌う がんと闘い(毎日新聞)

 東京タワーを抜き、日本一の高さになった新タワー「東京スカイツリー」(東京都墨田区、完成時634メートル)の近くに住む全盲のアマチュア歌手、熊谷喜美子さん(68)が、新タワーにちなむ音頭を歌い、福祉施設を回る活動を続けている。がん闘病中の熊谷さんは「タワーは見えないけど、空に伸びゆく想像の姿に元気をもらっています」と話し、音頭で新名所を盛り上げようと意気込んでいる。

【東京スカイツリー 建設当初からを写真で見る】

 熊谷さんは富山県出身だが、墨田区に45年間住み続けている。40代で交通事故に遭い、視力を失った。6年ほど前には皮膚がんが分かり、治療を続けている。

 スカイツリーの建設場所が墨田区に決まった06年ごろ、同区出身の声楽家、加島達也さんが作曲し、加島さんの教え子の水野省吾さんが作詞した「東京スカイツリー墨田の華音頭」を老人ホームやデイサービスセンターなどで歌う活動を始めた。音頭は「空に634(むさし)m(メートル)」「東京スカイツリー世界に誇るものとなる」という歌詞にテンポの良い曲がついている。

 中学、高校と合唱部で活動した熊谷さんは、歌うことの魅力が忘れられず、子育てが一段落した後、加島さんのもとで指導を受けてきた。明るく優しい声が持ち味だ。施設で音頭を披露すると、「一緒に歌いたい」と入所者に言われたこともあるという。非売品だが、CDも製作した。

 長女歌代(かよ)さんが07年10月、がんのため36歳の若さで亡くなり、「もう楽しい歌は歌えない」と思ったこともあったという。だが、歌代さんが生前言った「母さんが歌が好きなら、生きてる限り歌い続けてみたら」という言葉を胸に活動を続けている。

 近所の人が「鉛筆みたいな形よ」「マンションの高さを追い越したの」とスカイツリーの成長ぶりを教えてくれる。それを頼りに、熊谷さんは姿を想像する。そして「歌手として、私ももっと成長できるはず」と自分を勇気づける。

 スカイツリーの完成は11年末の予定だ。【山田奈緒】

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